甲子園 ③

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この目で、そしてあれ程間近で衝撃的なシーンを見せられた私の意識は180度といっていいほど変わった


何をする時でも目線はあの名門校

あれだけのチーム、選手になる


あれ以上の選手になってやるぞという気持ちが日に日に強くなっていく


そして高校2年の夏

一年前のあの場面が蘇る


夏の県大会

エース番号をもらった私はあの舞台へ行く事だけを考え、大会に臨んだ


一回戦

相手は毎年のようにあの舞台へ行っている高知一の名門校である


組み合わせが決まった時点から燃えていた


この大会で勝つためにあれから一年やってきた


この相手を倒すためにあれから一年やってきた


このためだけにやってきた





はずだったが


結果は完敗


私は3イニングで3点を奪われ降板

同級生投手に後を任せたが逆転はなかった


私はもう一年あるが、先輩達はその日が引退の日となった

ベンチに入れない先輩達にも申し訳ない気持ちでいっぱいになった

自分を責めた

悔しさ、情けなさ、苦しさ

マイナスの感情ばかりが込み上がってきた


先輩に対しても申し訳ない気持ちしかなかった

言葉で表せないほど苦しかった

逃げ出したかった、投げ出したかった

後にも先にも、野球人生でここまで自分の事を責めた試合はない


けれど先輩達は試合後に

ありがとう、来年は絶対勝てよ

甲子園行けよ、負けるなよ

というねぎらいの言葉を私にかけてくれた


先輩に対する感謝の気持ちと同時に

勝つ事でしかこのお返しはできない

結果を出す事でしか認めてもらえない

そう感じた




数日後、新チームがスタート

毎年ながらこの時期の練習は本当にきつい

夏休み中のため、対外試合も多く、比較的試合に出る人数も多くなる

連日、2試合をこなし、間に練習が入るという形で夏休みの1か月半くらいを過ごした


暑さも厳しく、終盤は完全に夏バテ状態でグラウンドに出ていた

一日8時間程グラウンドにいた


バテた体は思うように動かない

新チームという事で監督、コーチはわざとかと思うくらいピリピリしていた

この一か月半はまさに地獄のような日々であった


その年も夏休み中に新人戦があった

ここまでやったのだから負けるはずがない


そんな気持ちで大会に入った



更につづく



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