甲子園 ④

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しかしその大会でも決勝戦にあの相手に負ける事になる

しかも20-4という大差


この一か月半何をしてきたのか

なんのためにやってきたのか

この相手に勝つために

この相手を倒すために


それがこの結果だった


一か月後には春の甲子園の出場を決める秋の予選が控えている

そこで勝たなければ夏の予選までは半年以上もほとんど練習ばかりという日々が待っている


夏休みも終わり、学校が始まった


学校が始まると夕方からの練習になるため4時間程度になる

打撃練習が足りないという事で私達は今までほとんどしなかったような朝練を始める

キャプテンを中心に選手同士でミーティングをし、そういう決断をした


高校生なりに色々考えたが《何か変えないといけない》という意見でまとまった


決まれば後は動くだけだ


秋の大会までの一か月

私達はがむしゃらにバットを振った

とにかく大量点を取れる打線を目指し、来る日も来る日も振り続けた


その一か月はあっという間に過ぎた

そんな中、秋の大会が始まる


順調に勝ち進んだチームは決勝戦まで駒を進める

相手は予想通りあの名門である

縦縞のストライプを見ると色んな思いがこみ上げてきて、それだけでアドレナリンがいつもの10倍、20倍は簡単に出る


予想以上の打撃戦を制し私達は見事に勝利した


11-7


点は取られたが、それ以上に打ったのだ


朝練の成果が出たはずだ

キャプテンと抱き合いそう振り返った


泣ける程に嬉しい瞬間だった

スポーツをしていて1番嬉しいのは努力が報われた時である


そして2週間後の四国大会

高知を制し勢い付いた私達は四国大会までも制する事になる


高知を制するところまでは想定内であったが四国までは正直考えてはいなかった


いよいよ神宮大会である


ここで簡単に説明しておくが、夏の甲子園はその県で優勝すれば甲子園に行けるが、春の甲子園は違う

春はその県で優勝すればその地方での大会(高知なら四国、大阪なら近畿、福岡なら九州)があり、そこで勝ったチームの中から高野連の偉い方たちが選考し決定する


そして地方大会の優勝校だけが集まり、秋の全国大会が東京の神宮球場で行われるということだ


そんな大会があると聞いただけでも私はピンとこなかった

知ってはいたが、自分達が出るとなると妙に実感がなかった


ある意味甲子園より出場するのは難しい

各地方で優勝した10チームしか出れない

そこに訳も分からない私達はが参戦したのは今思い返しても違和感を感じる


神宮大会の結果を知らない方は驚く準備をしていてほしい!




優勝



してしまったのだ

秋の高校野球日本一である


もちろんだが日本一は私の人生で初めての事だった


それこそ実感がない私達は本当に不思議な感覚になり、試合後の事はあまり覚えていない


品川のホテルに帰りプチ宴会

当時は勿論お酒は飲めないので

コンビニでお菓子とジュースを買い、キャプテンの部屋で数人で宴会を楽しんだ


キャプテンはホームシックになり、はやく帰りたいと言っていたのを思い出す



春の甲子園もほぼ確定し、日本一も経験した私達はご機嫌で故郷に帰った


帰ると学校には沢山の方が出迎えてくれた

親、兄弟、学校の先生、新聞社、テレビ局、地域の方々


その方達を見てほんの少し日本一の実感が湧いた

そして、何より三年生にも少し恩返しが出来たかなとも思った



もうちょいつづく



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