抜群の制球力

f:id:nodamatv:20190816101553j:plain



大会8日目

高知代表、名将馬淵監督率いる明徳義塾智弁和歌山と激突した


試合は4回を終わって0-0

両左腕が粘りの投球で、4回まで両チーム得点なし


5回、先制したのは明徳義塾

二死ながら得点圏にランナーを置き、3番鈴木が中前へ運び1点を奪う


明徳義塾先発の2年生左腕新地は、ランナーを許しながらも粘りの投球で智弁和歌山打線を無失点で6回を終えた

1-0の明徳1点リードで試合は終盤へ


7回、ここまで粘りに粘っていた新地、そして明徳義塾の守備が乱れた

一死から8番池田の中前

池田は2塁を狙い、センターの送球が逸れた

続く9番綾原の1塁ゴロを後逸

一死1.3塁のピンチを迎える


ここできたのが、1年時から5度目の甲子園の土を踏んだ男、1黒川

しかし、大会屈指の好打者を相手にしても2年生左腕新地は冷静だった


内、外ときっちりとコースに投げ分け黒川を追い込んだ


黒川もいい当たりを続けていたがファールにしかならなかった

ツーストライク後、キャッチャー安田は外角いっぱいのストレートを要求した


内角を何度も見せられて意識は内角だった黒川は外角のボールに当てるのが精一杯だった

なんとかバットの先に当てた打球はショート正面へ


誰もがダブルプレーを確信した


しかしツキは智弁和歌山にあった

ツーバウンド目、打球は大きく跳ね、ショート米崎のグラブをはじいた


同点


甲子園常連校、これまで幾度となく甲子園を沸かせた一塁側のアルプスが今まで以上に湧き上がった

この一打で球場全体の雰囲気が変わった


なおもランナー12

前の打席、チャンスで凡退していた2番細川は燃えていた


明徳義塾安田は黒川の配球同様、内外角の厳しいコースで追い込んだ

カウント2-2から安田が選んだ決め球は外角のストレートだった

この日、ほとんど失投という失投がなかった新地

しかし、決め球がほんの少し中に入り、2番細川はその球を強振

打球はライトフェンスを越えた


4-1

智弁和歌山が一気に逆転に成功

この1本で新地は全ての糸が切れた

5番根来、6番東妻にも連続ホームランを許した


それまで粘り強く投げていた新地も1イニング3本塁打を浴び、マウンドを降りた

結局明徳義塾1点しか奪えず7-1智弁和歌山に敗れた


しかしである

試合には敗れ、そして7回には3本塁打を浴びた2年生左腕新地

彼の投球は投手のお手本になるような内容だった


2回、二死2塁の場面

迎えるは智弁和歌山7番久保

右打者の久保に対し投げた8球の内、7球が内角のストレートだっ

高知県大会でも持ち前の制球力を武器に優勝投手となった左腕はこの日も見事な投球を発揮した


7球全部が内角ギリギリ

打ってもファール、見逃しても主審がジャッジに悩むような際どいコースに投げ込んだ


捕手の安田も完全に新地の制球力を信じていた

セオリーなら130キロ程のストレートなら内角のボールは見せ球につかう程度だ

最近は高校生でも150キロを超える投手が増える中、打者の対応力も上がっている


そんな中、130キロにも満たないストレートを連投させる安田

新地の制球力を信じているからこそである

そして一寸の狂いもなく安田のミットに投げ込む新地

最後は内角低めのストレートで三振に切ってとった


この試合、新地は右打者左打者関係なく、内角のストレートをこれでもかという程投げている

そのほとんどがファール

打ってもなかなかヒットにならないコースに投げているのだ


ここまで強気に内角を突き、失投なく投げ切る投手は最近の高校生では見たことがない

いや、高校生ではなく、もっと上のレベルでもなかなか見ない


内角に投げる恐怖心を捨て、構えたところに投げ切る技術はプロレベルでも数少ないだろう


近年では、多くの高校生が145キロ、150キロを目指し、球威球速を求める中、130キロでも抑えられる制球力を披露した新地の投球


これは多くの野球人のお手本になる内容であった

特に小中学生には是非参考にしていただきたい


そしてこの試合の新地の投球は多くの玄人をうならせる内容だった


この制球力にさらに磨きをかけ、来年の夏もまた素晴らしい投球を見せて欲しい

私は新地の投球に魅了され素直にそう感じた


彼のこの日の投球、気持ちに称賛を送る


https://m.youtube.com/channel/UCU7YilmG0M42qXEDxNq3UZA